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 案内された、ユウキの部屋はベランダから陽射しが射し込んで、明るいワンルームだった。 「座ってて コーヒー、大丈夫?」 「……うん」 小さなテーブルに置かれた見覚えのある紙袋。 「腹、減ってる? 一緒に食べようか…」 マグカップを差し出されて、明るいユウキの声にホッとして、笑顔で答えた。 「ここのパン、美味しいよね…」 「パン屋って知ってたんだ。最近も…食べた?」 紙袋を開ける手が止まった。 やっぱり…ユウキの声に、視線は揺れた。 「本社の前のパン屋…よく来るの?」 ユウキに言わなくてはいけないのに… 鼻の奥がツンとして、泣いてしまいそうになった。
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