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「いいの…?」
俺に気付いて、小声になるヒカリ。
「ユウキ、聞いてるわよ」
ミカコを軽く睨んで、立ち尽くすヒカリを見た。
「いいよ」
俺を見てヒカリは優しく笑った。
「じゃ、」とマサキの待つテーブルへむかって行ったミカコの強引さに内心では感謝した。
「ずっと、帰って来てないの…?」
4人掛けのテーブルに並んで座る俺とヒカリ。
白いワンピースの胸元は広くあいてるし、背中は真ん中辺りまでレースで透けていて、ヒラヒラから伸びる太ももの柔らかさに目のやり場に困って質問に答えないまま席を立った。
無理だ、俺…普通じゃなくなりそう…
「ユウキくん!!」
突然の行動に顔を強ばらせたヒカリに「この方が自然だろ」とヒカリの斜め前の席に腰を下ろした。
「3年かな…久しぶりに帰ってきたら、色々変わって驚いたよ」
質問に答えながら、ヒカリを眺めた。
肩まで伸びた黒髪は真っ直ぐで、相変わらず色白で、長い睫毛は丁寧にカールしていた。
幾度か二人のテーブルに友人達が近づいて来て、他愛もない世間話をした。
一番聞きたい事は、聞く勇気も資格もない。
あの時の事を今更謝るのも失礼な気がして。
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