56人が本棚に入れています
本棚に追加
/2017ページ
夏休みが終わるころ、ハヤトは自宅に帰って行った。
ハヤトがいつかは帰っていく事はわかっていたとはいえ、やっぱりこの部屋に一人でいる時間はキライ。
しかもハヤトがいた時はすごく賑やかだったせいか、尚更一人になると静かで一人が当たり前だった頃より空虚な気分が強い気がする。
『楽しい時間なんて一瞬なのに、終わったらすっごくキツイ……』
この夏休み、今までで一番楽しい夏休みだった。
傍から見れば、ただ家ではだらだらして外でケンカしてって堕落した日々のように見えるかもしれないが、こんなに長く誰かといる時間が長かったのは初めての事だったから。
『一生、俺ってこんなことの繰り返しなんかな』
少しの間だけ自分と一緒にいてくれる人はいても時期が来ればその人は離れていく、の繰り返し。
ハヤトもマヒロくんも帰るべきところがちゃんとあるから。
この先、自分と一生一緒にいてくれる人なんているのだろうか。
例えば結婚ってことで女の人?
―――――最悪。いらないこと思い出した。
あの女を見てみろよ。
男を騙して金を貰う仕事に就いて、あっさり自分の幸せの為に息子も平気で捨てていけるんだぞ。
しかも俺が知っている限りでも何度も条件のいい男が現れるたびに乗り換えてる。
勝手な大人だけじゃなくて、女も信じられない。
『俺、きっと一生独身だな』
まだまだ何十年も先の話を考えながら、もうすぐ秋の星座に変わろうとしている夜空を見上げていた―――――。
最初のコメントを投稿しよう!