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壁を目の前に、ささげが振り返った。
真剣な眼差しを向けてきたため、思わず黙りこくる。
「えーっと、君は自然界に来たばかりの人間さん?」
「うん。そうだけど」
「……後悔、しない?ちょっとショック受けるかも」
どういう意味だかわからなかった。
でも、ここまで、こんな奥にまで連れてこられて今更何もなく引き返すなんて、何かいやだ。
だから豊は、
「しない」
と、きっぱり言い切った。
返答を聞いたささげはまたさらに振り返って、真っ黒の壁を見上げた。
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