1-2 白櫻庭園

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ふと目を開けると、いつの間に自分は外に出たのか、周りには自然界の雄大な景色が広がっていた。 生い茂る緑、異常に広く見える空、連なる雄大な山々……空間トンネルを抜けたあの時と同じようだ。 ただ、それらをよく見ると、絵の具で描かれた絵だった。 触れてみようとしたら、まるで水のように突き抜けてしまう。 そして目の前。さっきまで、真っ黒い巨大な壁が立ちはだかっていたはずなのに、巨大な桜の木ーーいや、巨大な白い桃の大木の絵が飾られていた。 「あら、いないみたいだねぇ」 左隣にささげがいて、何かを探しているらしく辺りを見渡している。 明るい場に来たから、ささげの姿が明白に見えた。 肌も白くて、髪飾り以外の色は殆ど黒と白だ。
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