1-2 白櫻庭園

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通ってきた図書館の角を曲がると、すももとばったり出くわした。 「やっと見つけた!兄ちゃんが呼んでるよ!」と、すかさず豊をうながしてロビーに戻り、階段を上がって風雅の部屋まで戻った。 部屋の中に入ったら、豊は硬直した。 驚くことに、逆さまになった林檎が天井から吊るされているのだ。 両足を結ばれて頭を下に、何の抵抗もできずに気絶しているようだった。 風雅は何食わぬ顔で戻ってきた豊に対応する。 「……ったく、林檎に案内させたはずなのにな。すまんなゆか…豊かよ」 「……いやその前に、死んでませんか?林檎さん」 「大丈夫だ。吊るされたての頃は喜んでいたからな」 (ドMかっ!!) 声にならない声を上げた。
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