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豊の気配を察した林檎は突如、ピクリと動き、さも恨めしそうな顔を豊に向けた。
「キーーッ!!アンタの所為よ!!ギャーギャー!!」
「な?生きてるだろ?」
「……は、はい」
風雅の冷静ぶりに、豊はちょっと吹き出しそうになった。
「それで、本題に入るが、貴様が人間村を望まないというのなら、季節の世界に住まうことになるな。
しかし貴様は自然界に来たばかり……。まだ慣れないだろうから、半月ほどはこの白櫻館の一室を貸してやるぞ。
どの季節に住みたいかじっくり考えるが良い」
机に両肘を付き、相変わらずの仏頂面で淡々と言った。
対し豊は、入りたてで期待に胸を膨らしつつも、緊張している新入社員のように瞳を輝かせて、
「はい!頑張ります!!」
と、声を張らせてお辞儀した。
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