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翌日ーー
朝6時台に目が覚めた。新しい環境に興奮が収まらず、夜は遅く朝は早起きだった。
借りた部屋は2階の一室。
吹き抜けから顔を覗かせる。ロビーには誰もいないようだった。
昨日の夜にも白櫻館を探索してみたが、どこも抜かりなく豪奢に飾られ、人間が来ることを配慮してか、トイレも風呂も食堂もあって、何だか高級ホテルに泊まっている気分だった。
食堂は、階段裏の廊下から見て、四角い図書館の右側の壁の向かいにある。
半分寝ぼけながら階段を降り、図書館があるフロアに行こうとした時、林檎とバッタリ。
豊の顔を見た瞬間、林檎は子供みたいに頬を膨らませて、ブスッと不貞腐れた。
「アンタなんか!風雅に似合わないんだからね!風雅は林檎様のもの!!テストに出るよ!」
言いたい放題ぶつけてきて、林檎は通り過ぎて行った。
やれやれと、豊は肩をすくめる。
あそこまで自身過剰なのは、ある意味すごいなと思った。
ーーまあ、実際風雅は満更でもないようだが……。
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