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少女が降りてきて、真っ先に豊は疲れた息をついた。
まさか林檎以外に、自分が風雅に近づくために白櫻館に来たと勘違いしているヒューマプラントがいるとは思わなかった。
「……あのねぇ、俺は男な?風雅様も男!男同士の恋愛なんて、あり得ないんだよ!!」
声を張り、少女に向けてビシッと指をさし、格好良く決めたつもりだった。
しかし少女は流すように「ホホホ」と笑い、白い着物の袖に隠れた右手を口元に当てた。
「何ならこの小説自体をBLものに変えたって良いんじゃよ?」
「何言ってるんだ!!そしてどこ次元の話だ!?」
「まあまあ、わたしゃ暇なのじゃ。散歩に連れてっておくれ」
「……えええ」
散歩なんて勝手に行けば良いものを、なぜあえて豊に連れていけと頼んだのだろうか。
豊は少し困惑した。
この子、見た目の割にババくさい口調だし、どこか変だ。
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