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二人で並び、真紅の絨毯の上を歩いてロビーへ向かう。
さなか、何のヒューマプラントなのか聞いたら、少女は桃と答えた。
「桃かぁ。あれ?でも、桃って、こももがいなかったっけ?」
はじめ白櫻庭園に来た時、中央の噴水へ向かう途中にあったベンチに座っていた、薄ピンク色のボブヘアの少女。たんぽぽのぽぽと一緒にいて、確か名前はこももだったはず。
隣の桃の少女は、また口に手を当てて「ほほほ」と微笑した。
「はて、ならばなぜそのオナゴは"こ"ももだと思うかね?」
「え?……小さい桃みたいな?」
「わたしゃ意地悪だからおせーない」
白い歯をみせていやらしく笑い、桃の少女はそっぽを向いた。
自分から聞いといて、実は答えを知っているそぶりだった。
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