1-3 白櫻館の小さな霊

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途中、風雅の部屋の正面に続く階段を右手側に歩いたとき、ひめりに会った。 豊を見るなり、不思議そうに首を傾げた。 そういえば、いつの間に帰っていた。昨日の作戦は上手くいったのだろうか。 「豊?誰と話してるの?」 「え?」 言ってる意味を理解できないまま、ふと隣を確認する。 桃の子は眠たそうに目尻を指で拭っていて、しっかりそこにいる。 「一人でおしゃべりなんて、豊、友達いないみたいなのー!」 と、バカにしているのかびっくりしているのか、ひめりはドタバタ走って横を通り抜けていった。 「……あいつ、何言ってんだ?」 「そうじゃよ、豊」 怪訝そうにひめりの背中を見つめていると、桃の子が突然、重々しい声色で言った。 「……何がそうなんだ?」 「我は、豊の前にしか姿を見せていない」 髪に、左右対称につけられた桃の髪飾りを弄りながら、目をこちらに向けることなく、つぶやくように言った。
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