Prologue.

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 この国の経済の中心となっている都市、"東都"。  人々は日々仕事に勤しんでこの都市に足を運ぶため、東都10区は常に人で満たされている。  ただ、それは北東部から中央部に位置するこの10区だけであり、海に臨む最西部は人口が極端に少ない。  建築物に鉄筋コンクリートが含まれるのが当たり前である北東部に対し、最西部は古風な木造建築が当たり前である。 人々は皆、都市部へ移動してしまい、この最西部に新しく家を建てるという人はいないため、新しい技術が詰まった家は見られないのである。 辺鄙な最西部の中でも、特に寂れているのが原志野町。この町は海に臨んでいる町で、耳をすませばやさしい波の音が聞こえてくる。  原志野町の上空に少女が一人、下界を眺めている。 何かに乗って上空にいるわけではなく、彼女はゆらゆらと空中を浮遊している。 「やっぱり、都市部と違ってここはまだ空気がいいなあ。”森”がこの町にあって本当に良かったよ。都市部にあったら、きっとすぐに潰されてビルになっちゃうんだろうな」
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