1-2 白櫻庭園

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目前には、いやに光り輝いて、どこか重々しい雰囲気を醸し出しながら、堂々と構える茶色い扉。 遠くから見た白櫻庭園の雰囲気とは異なっているように思える。 両開きの扉で、豊は中央にある二つの取っ手を握った。手に汗が滲む。心臓の鼓動もより激しくなった。 「豊さん、緊張しすぎだよ……」 と、半笑いのさくらの声が聞こえたと思った刹那、背中を押されて、その勢いで扉を開けて倒れこむように中に入ってしまった。 辛うじて両手で受身を取れたが、その支えた腕に痛みはなかった。 目前には真紅の絨毯。かなり上等のものなのか、触り心地がとても良かった。
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