1-2 白櫻庭園

21/55
前へ
/812ページ
次へ
豊は、両開きの扉の中央に縦に並ぶ金色の取っ手を握った。 そして、力一杯解放。無意識に目を瞑っていた。 「……おい」 暗闇の世界に、自分よりも少し年が上の男が出すような鋭い声が響いた。 咄嗟に目を開ける。 部屋は左右に広い長方形で、扉は長い壁の中央にある。その今いる扉のつきあたりには机があり、さらに肘を付いている男。 ボサボサの深緑色の髪で、眠たそうに目を細めてこちらを睨んでいる。 この男が、この自然界の王ーー風雅だ。
/812ページ

最初のコメントを投稿しよう!

120人が本棚に入れています
本棚に追加