1-2 白櫻庭園

29/55
前へ
/812ページ
次へ
 散々騒いだ結果、結局林檎は風雅にゲンコツされて渋々従った。 部屋を出てつきあたり、階段の前に来て、前を歩いていた林檎がくるりと振り返った。そして怪訝そうに豊をジロジロと見つめる。 「んで、アンタ結局風雅とどんな関係なの?」 「……いやだから、何もないって!俺今日初めてここに来たし」 「……証拠は?」 「しょ、証拠?」 林檎に冷たく言われて、少しムキになり、証拠に当たりそうなものを探し出そうと考える。 しかし、 「……あやしい。とにかく!風雅はこの林檎様のなんだからね!!」 林檎は吐き捨てるように言って、右側の廊下を進んでいった。 「な、何なんだあいつは……。恋愛に性別の差なんてないとでもいうのか?」 残された豊は一人、下へ続く階段を前にブツブツ呟いた。
/812ページ

最初のコメントを投稿しよう!

120人が本棚に入れています
本棚に追加