1-2 白櫻庭園

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「どう?白櫻館は。私がいつも掃除してるから綺麗でしょ?」 「うん、綺麗だよ」 「たまにはお兄ちゃんも手伝って欲しいんだけどねぇ」 ……と、会話しているさなか、浮かない顔をしたさくらが階段から降りてきた。 気づいてすかさず声を掛ける。 しかし、さくらはまるで気づかないように通り過ぎようとした。 二度目はさくらの肩に触れて呼んだ。そうしたら流石に気づいて、驚いたように目を丸くしてこちらを向いた。 「あっ、豊さん」 「どうしたの?何かボケッとしてたよね?」 「あー、うん。なんでもないよ。 ところで、林檎に案内してもらってたんじゃないの?」 「いや……それがね」 豊はさくらに林檎が勝手に怒ってどこかへ行ったことを説明した。 ついでに、あまりに勝手でムチャクチャな誤解をされていることも。 そうしたら、さくらはクスリと笑った。 そして、「豊さんも大変ねぇ」と、まるでおばちゃんのように笑って豊の肩を軽く叩いた。
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