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呆然と立ち尽くす豊の肩に、小さな手が乗った。
すももだった。
「いやぁ、青春ってなんなのだろうね」
「……はい?」
返答に困ってまたさらに立ち尽くしていると、すももは掃除用具を片付けに階段を上がっていった。
また、一人残された。
ずっと立ちっぱなしだったし、疲れを感じたため、ロビー中央の赤い絨毯を中心に、左右に秩序正しく並べられている丸テーブルまで足を運び、座って休んだ。
この白櫻館、案外色んなヒューマプラントが出入りしていて、会うたびに軽くあいさつを繰り返した。
あいさつする度に内心、さくらの説明が欲しいなと思った。ほんの一握りくらいの子は、服装やら装飾品やらで何のヒューマプラントだか見当がついたが……。
人間界では、こんないちいちあいさつしていない。近所の人にさえもしない。そのためか、少し面倒に感じる。
ーーでもこれが本来の人間の姿なのではないかと思ったり。
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