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冗談混じりに軽く覗いてみる……と、本当に隠し階段らしきものがあり、思わず息を呑んだ。
もっとも、現実世界では何の隠しにもなっていないが。
階段は地下へ続いている。
壁にろうそくの炎がちらほら見えている。
その数は少なく先は薄暗くて、さらに壁も床も元の石の灰色と黒い汚れだけで、かなり不気味だった。
さらに、奥から僅かに声が聞こえる。
誰かいるみたいだ。
豊は唾をゴクリと呑んで、一段一段慎重に階段を降りていった。
コツコツと、豊の足音が響くと、さっきまで聞こえていた話し声がまるで靴音に掻き消されたように消えた。
そして、先方から黒い気体を纏った何かがろうそくの光に映し出された。
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