1-2 白櫻庭園

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足音は豊の目の前で止んだ。 同時にシルエットの正体を確認できた。 長いもみあげに紫色の蝶の髪飾りを付けた、長い黒髪のゴスロリ少女だった。 「えーと、君は誰かな?」 腰に手を当て、怯む豊かにずいっと顔を近づける。 さらに、さっきの蝶のバケモノは少女の周りを優雅に飛んでいる。 「お、俺は…豊……君は?」 「あたし?あたしはささげ。黒眼蝶を使う、その名の通り大角豆のヒューマプラント」 ささげというゴスロリ少女は、人差し指を立てて身の周りを飛び回る一つ目の蝶を指に停めた。 「く、くろめちょう?」 「そう、黒眼蝶。この蝶はあたしの瞳の代わりになるの。目を瞑ればこの子が見ている世界を見れるの。 ……ふふふ。 そう……ね……」 「な、何だよ……!」 突然暗闇で不気味に笑うものだから、豊は怖気付いて身体を震わせた。
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