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告白は幾度もされてきたし、彼氏は20歳の今にいたるまでに4人いた。
重要なのは彼氏の人数より付き合いの中身なのだが、4人目にして痛い目をみて、しばらく恋から遠ざかっていた。
春が来て誕生日を迎え、大学も2年目に突入した今、そろそろ安心が欲しくなったのだ。
しかし、今は何のテクニックもぶりっ子だってしていなかったから、伊吹の反応に戸惑ってしまった。
(もしかして、脈ありじゃ……?)
女たるもの、武器を使え。
小さな伸長を生かし、わざと上目づかいに彼を見る。
「人並みじゃないかな。モテるってほどではないけど、うん、人並みに」
「何その含みのあるいい方。気になるし」
「へへへ~、女の子は秘密が多い方が魅力的でしょ?」
「魔性だ…、俺みたいな凡人じゃ手におえないかな」
(なんでそこで引くのよ!男なんだからぐいぐい来なさいよ!)
内心焦って話題転換を試みようとしたが、みのりが口を開くよりも早く、伊吹が思い出したように「そうだ」と口にした。
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