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「あ、無視した!むーしーしーたぁー!」
まるで子供の様に喚き散らす夏樹に、先ほどまでタカっていた女性陣もさすがに引き気味な苦笑を浮かべた。
それを目にしたみのりは、夏樹を不憫に思ったが、内心舌を出して笑っていた。
なんとなく感じ取ったのであろう夏樹が、周囲を見渡した後にキッとこちらを睨みつけたが、気にしない。
火花すら飛び散りそうな二人の間に、「まぁまぁ」と呑気な伊吹の声が割って入った。
「そんなこと言わずに、ほら、アドレス交換するんだったよね!夏樹、携帯返して」
みのりは険しい表情を解いて、伊吹を見上げる。
「えー。伊吹ぃ~」
「早く」
駄々を捏ねていた夏樹も、真顔で伊吹に急かされては反抗する気をなくしてしまったらしい。
渋々ながらも携帯を伊吹に渡し、せめてもの反抗にか、ぶうと頬を膨らませた。
伊吹は受け取った携帯をすぐにみのりに返してくれた。
(伊吹くん、ホント王子様……!)
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