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心からの嫌悪をこめて発した言葉に、さすがの夏樹も堪えたようで、唇を噛んで俯いた。
それ以降夏樹には一切の反応を示さずに、みのりはアドレス交換を終えると、もくもくと並べられた料理を食べ、時が経つのをひたすら待ったのだった。
***
「それじゃあ気をつけて帰ってね。んじゃ、解散」
伊吹の声に、合コンの集団は二手に別れた。
不幸にも伊吹とは反対の道で、不幸にも夏樹とは同じ方向の帰り道。
みのりと夏樹の他に2人いたのだが、早々に分かれてしまった。
二人きりになって、気まずい空気とイライラに耐えられず、みのりは思わず声をあげる。
「わ、私、一人で帰れますから……!じゃ!」
「おい、ちょっと待ってよ!」
がっしりと腕を掴まれて、逃げそこなったみのりは、絶望的な気分で苦虫を噛む。
「あの、離してくれませんか」
「今何時か分かってんのか?1時だぞ。さすがに一人じゃ帰せねぇって」
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