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伊吹の観察眼に驚いたが、幹事たる者必要な能力だと変に納得する。
伊吹によって適当に注文されたドリンクは、すぐに店員によって運ばれた。
テーブルに並んだグラスを眺めて、みのりはちらりと彼を盗み見る。
ビールジョッキを手にやさしい微笑みを浮かべて、伊吹は声を張った。
「んじゃ、適当に飲み物とって、乾杯しよう」
こうしてようやく始まった合コン。
目当てはすでに決まっていた。
浜田みのり、20歳。
菅原伊吹を落とします。
「ねぇねぇ、あの子誰?ほら、隅にいるさえない子」
決意した途端耳にとびこんできた言葉は、みのりを一瞬にして不快にさせた。夏樹だ。
「みのりのこと?あの子はダメ……」
「へぇ、みのりちゃんって言うのな~」
「夏樹くん、みのりはね、夏樹くんみたいな人ダメなんだって」
「えー?はは、何それ?そんなこと言われると気になるなぁ~。俺、ちょっと行ってくる」
なにを思ったのか目すら合わせようとしないみのりの横にどかりと腰をおろした夏樹。
無言のままに顔を覗きこみ、ニッと綺麗な笑みを浮かべる。
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