1.I hate you!!

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「なんだ、顔あげられるんじゃん」  それは嫌味に聞こえる。  どこか人を馬鹿にして、自分以外を見下しているところ。  ――――あいつを、思い出してしまう。 「……ごめんなさい」  耐えるのにも限界が来て、みのりはガタリと音を立てて席を立った。  カバンを勢いよくひっつかんで、帰る気満々で背を向ける。  しかし、伊吹の存在に後ろ髪を引かれて、店を出る直前で思わず足を止めてしまった。  気になっているのだから、アドレスくらい聞かなくてはもったいない。  ただ、このまま戻るのも癪なので、用もないがトイレを探しキョロキョロと周囲を見渡した。  居酒屋というには少しオシャレな店内は、たくさんの男女で溢れていた。  カップルの姿をみると、いいなと思ってしまう。  あんなに酷いフラれ方をしたと言うのに、それでもやはり、恋人はいい。  ひとりじゃない。さみしくないと思えるから。  いつかきっと、すべてを愛してくれる人に出会えるはず。  あいつはただのハズレだった。  他にもっと素敵な人が居る。絶対にいる。  そう言い聞かせてやって来た久しぶりの合コンだと言うのに。  なんだこの有様は。 「みのりちゃん」  落ちに落ちていたみのりは、呼び止められて、重たい顔をあげる。  聞き覚えのある声にきょとんとして振り返れば、気の利いた微笑みが目に飛び込んできた。
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