1.I hate you!!

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「伊吹くん……」 (こんなラッキーなことってあるかしら)  これは二人で抜けるチャンスだ。  途端にフル稼働の脳内で策を練るみのり。  目の前には温和なウサギが、何も知らずに頬を掻いた。  今日は、今日こそは恋人をゲットだ。 「えっと、大丈夫?なんかさっき顔真っ青だったからさ、心配になって……」 「気にしないで、ちょっと飲み過ぎちゃったみたい」 「え?ウーロン茶を?」  本当に純粋というか、そこを突っ込むか?と思いつつ、笑顔を浮かべて、みのりはスイッチを入れた。  女の子は可愛げがなきゃだめだ。  ありのままの自分を受け入れてくれる人?そんなの人生に会えてもたった一人くらいだ。  いつもメイクで変身して、モテるしぐさで、オシャレな服を着て。  愛を勝ち取るには、努力が必要なことを知っている。 「心配してくれたんだね、ありがとう」  「余計なお世話かなって思ったけど、そう言ってくれてよかった」 「そんなことないよ、追いかけてきてくれてすごく嬉しい」  邪魔にならないように通路の端によりながら、みのりはしおらしく答える。
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