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「なんて酷い有様なんだ……」
誰かがポツリと呟く。
目の前には冷たくなった伊東さんの姿があった。
伊東甲子太郎。
俺、藤堂平助が慕っていた人物。江戸に新撰組の隊士の募集に行った際に、連れてきた。
だけど、局長の近藤さんや土方さん達とは合わなかった。
だから御陵衛士という天皇の墓を守る組織を作り、新撰組から脱退した。
以前の優しかった近藤さんはもういない。今の近藤さんは、俺達を家臣のように扱ってきていた。
それに着いていけなくて、俺は伊東さんと共に抜けることを決意したんだ。
「誰の仕業なんだ!? 伊東さんをこんな目に遭わすなんて!!」
結構な人数に襲われたのだろう。伊東さんの身体には無数の傷跡がある。
多分、新撰組のみんなが殺ったんだよな。ここに置いていったってことはきっと……。
そんなことを考えていると、複数の気配を感じた。
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