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「( ´ ▽ ` )一人じゃ喰いきれんだろうが、まあ一口」
「( ´ ▽ ` )お姉さん二十歳?ビールとよく合うよ」
と、とりあえず彼らに勧められるがまま爪楊枝にささった赤と黄色たっぷりのウインナーをかじる。
なるほどなんの変哲もないウインナー。ビールとあいそうだが生憎二十歳になりたてであまり得意ではない。
「( ´ ▽ ` )他にも大鍋で煮込んだカレーとか」
「( ´ ▽ ` )最近じゃ麻婆豆腐の店なんかも」
「( ´ ▽ ` )選手弁当は少ないがまあそれを頼むってのも一興」
「あ、あの……君達は一体?」
そう思った時、ユニフォームフル装備の青年達が通りかかった。
「あれ?わらし様だ」
「( ´ ▽ ` )おうお前ら、ここまで皆勤賞とは絶好調だな」
「オッス!!今日は館山ッスからね、張り切ってますよ!!」
「わらし様~、今日こそ幸運頼みますよ?」
「( ´ ▽ ` )俺らは応援の神様なだけで」
「( ´ ▽ ` )こればかりは野球の神様任せだなぁ」
「しゃーねーかー」
去っていく青年達を見届け思わず目を白黒していると、周りのファンが彼らに気がつき手を振ったりしている。呆然とその様子を眺めていると、彼らは同時にこちらを向いた。
ただでさえ微笑んでいる顔が、ぱああと明るくなる。
「( ´ ▽ ` )俺らは明治神宮野球場に住む座敷童」
「( ´ ▽ ` )神宮球場にくるスワローズファンと野球ファンの思いから生まれた座敷童だ」
「( ´ ▽ ` )プロ野球の発展のため」
「( ´ ▽ ` )主にスワローズの勝利のため」
「( ´ ▽ ` )こうして神宮球場を案内しているのだよ」
すると彼らはすっと重なり、一人の童子となる。
「( ´ ▽ ` )ようこそ、明治神宮野球場へ。お姉さんの名前は?」
初夏の神宮ライトスタンド。
それまでなんとなくでしか見ていなかった野球が、私の中で変わった瞬間だった。
その日、スワローズはロースコアで負けた。
「いや負けたし!!」
「( ´ ▽ ` )勝負は運だよ」
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