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氷淵は兄弟でも、親でも、ましてや友人でもない。
彼はいわゆる、この一族の神様だ。
僕は選ばれたもの。
神と会話し、神と一心同体で、いずれは僕という人格と存在は消滅し、僕の身体は神様の器…となるそうだ。
「夢焔、俺はもうこのようなこと、なくなった方がいいと思うんだ。」
ある日、彼は僕にそう言った。
「何で?一族には氷淵様が必要みたいだし、僕はこの運命受け入れてるしかないみたいだけど…。」
「お前は生きたいと俺に小さい頃言っていたぞ?『むーた、いきたい』ってはっきりとな。だから、俺はお前にこうして必死に降神の儀を遅らせるアドバイスをしているというのに…。」
出来ることならば、生きたいと思っている。
けれど、毎日毎日、見張られ、洞窟に閉じ込められて、氷淵様氷淵様と洗脳するかのように聞かされ…。
「なぁ、夢焔、明日は散歩に出ないか?気分転換した方がいい。俺が言ったと言えば、近場ではあるだろうが洞窟から出してくれるはずだ。」
氷淵…。
彼は神様だけど、一番の僕の理解者だ。
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