プロローグ

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何万の人だかり。レースも終盤のラストコーナー。白熱する。 わたしは、祈るように、馬券を握りしめ、拳を振りかざし叫ぶ。 「行けーーー!」 血走った目で食い入るようにわたしが賭けたお馬さん三頭を必死に応援します。 賭けたのは、大穴。 「行け行け行け行け行け行けーーー!!」 ゴール直前、時間が止まる錯覚がしました。胸があり得ないくらい熱く。学生時代元カノと初体験を過ごした時間など塵に等しいくらいにわたしは熱くなります。 接戦。既に後ろから別のお馬さんが、すごい勢いで追い上げて来ました。 「逃げろーーー!逃げろーーー!」 絶叫、ただただわたしは祈る。 「負けるな、負けるな、行け行け行け行け行け行け行け行けーーーー!!」 そして────ゴール。 周りにどよめきと、怒声。 ただの紙くずと化した大量の券が白い吹雪のように舞い上がる中わたしは、拳を振り上げ一人絶叫した。 「万馬券キターーーーー!!」
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