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「…おい、」
「あ、ごめんなさいっ!あの、失礼します…っ!」
勢いよく頭を下げるとあたし
は走ってその場を後にした
今まで肌寒いと感じていたは
ずなのに今は全身から火がで
そうなほど熱い
…そして、胸がギュッとなる
ような、そんな傷みがあたし
を襲う
…恋?
あたしが?
そんなはずはない
そう思いたいのだけれど、彼
の瞳を思い出すとそれが恋だ
と認めるしかないみたいだ
「…與、くん。」
彼の名前を口にするだけなの
にやけに緊張して、手が震え
る
あたしの初恋は16歳の肌寒い
秋だった
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