あの頃、まだ幼かった僕らは無邪気で

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視界いっぱいの桃色で自分の中の汚れも桃色に清められ、泥みたいに粘るしつこい鬱屈は風に散る花びらが一緒に遠くへ連れ去ってくれる。 幼い頃から、この一本桜は悠里の第二の居場所だった。 一番の居場所は。 「え、あれ、ユーリっ?」 「おっ、」 背中にぶつかってきた声に振り向けば、そこには今思い描いていた男の子がひとり。
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