あの頃、まだ幼かった僕らは無邪気で

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それでも甘やかしてとねだられれば、断らない誘惑に勝てるはずもなく。 「じ、じゃあお言葉に甘えられて…」 「おう、遠慮なく甘えられろ」 なにか立場が逆転しつつも、ほどなくして悠里の頭をそうっと遠慮がちな手が撫でてくる。 自然と深い深呼吸が漏れていた。 息ができる。 (ああ、だからオレはがんばれるんだ) あの家にまた帰っていけるのは、水の中でも息ができてしまえるような感覚。  楓麻がいるから。 
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