あの頃、まだ幼かった僕らは無邪気で

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楓麻の形の良い指先が、つ、と悠里の唇の端を辿って、つきりと痛みが走る。 瘡蓋にもなっていない傷はつい今し方のものだと物語っていたが、悠里は何食わぬ顔で笑ってみせた。   「好き嫌い多すぎて栄養不足って笑えるだろ」 「そんな誤魔化し、僕が信じると思うかい? 君の怪我は時々じゃないだろ」 「なんだよ急におっかないな、疑り深い奴は嫌われるぜ」 「…、ユーリ、僕が頼りにならない?」 しらを切り通すつもりの悠里に、楓麻はきゅっと目を細める。頼られないことへの悔しさが隠しもされず語調に滲んでいた。
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