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桜の季節が何回目か巡った頃、悠里は十五歳を迎えていた。
中学の最終学年、受験や志望校といった進路にいよいよ本腰を入れて向き合うこの年は、楓麻との話もほとんど受験に関しての話題でもちきりだった。
「ユーリはどこを受けるんだ?」
「違いとかよくわかんねーから、楓麻と同じとこにすっかな」
「ユーリ…三浪くらいする覚悟があるなら止めないけど」
ジョークではなくひたむきに心配しているあたりお前失礼だなと、遠慮なく鉄拳をお見舞いしてやった。
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