あの頃、まだ幼かった僕らは無邪気で

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そんなふうに受験勉強にあたふた追われながら、楓麻とふたり真新しい制服に袖を通す日まで過ごすのだと思っていた。 今の毎日に疑いようはなかった。 日常は、続くのが当たり前だから。 「うぅ~…吐きそ…」 まだ午後の授業が残っている昼休みに、悠里は早退して早すぎる帰路に着いていた。 (昨日も散々好き勝手してくれやがって、あのオッサン) 気分不良での早退は、三学年に進級してからこれで四度目で、自分自身は至って平気なのにこれはやはり自覚のないところで精神が相当追いつめられているのかと認識せざるを得ない。
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