あの頃、まだ幼かった僕らは無邪気で

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「おい、昼間っから酔いつぶれてんじゃねーよオッサン」 バカみたいに飲んだくれたのかなかなか起きない。こんなのがオレの父親とはなどといつもの不満を心にぶちまけつつ一層揺さぶりを強くすると。   ガタンッ、と荒々しい音と共に男が卓からずり落ちて畳に倒れる。 それでも起きない。身じろぎ一つ、うなり声一つ上げない。…動かない。 「…、おいオッサン…?」 それほど泥酔しているのか、と初めは安易に思い…いや、思おうとした。 横倒れた男に近寄って、触れていいものかと何故か躊躇う本能を押しやって、その身体を上向かせる。
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