隧道の果てには

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「ありゃ、やる気あんのかねぇ」 客席から出ていく銀髪の少年の後姿を見ながらライアンは肩をすくめる。 アースから来たという銀髪の少年。それだけで、ミチは目立っていた。 ライアンもビノーサで会った時には驚いた。ジョンなんて早速隣の部屋の奴に自慢していたし。 「確かに。あいつって何考えているかわかんねぇからなぁ」 隣に座るジョンもそれに同意する。ジョンは、ライアン共にビノーサで育った幼馴染だ。その彼の表情は笑っている。 ミチの事を、そういう奴だと理解しているからだろう。ライアンも同様だった。 ミチはいつも仏頂面で、何を考えているのか読み取れない奴だ。 基本無口だし、でも開かずの扉の件では思いがけない行動力を示したし、ライアンの中ではいまいち掴みどころのない友達だった。 「ま、ミチなら勝つっしょ。」 ジョンを挟んだ向こう側に座るギンタが言う。 ジョンから貰ったパンを口一杯に詰め込む金髪の彼は、まさにミチの正反対の性格だと思う。 誰に対しても人懐っこく近寄る。 そんな彼だからこそ、どこか他人を近寄らせない雰囲気のミチと友達になれたのだろうかと、ライアンは推測した。 そんな確信めいたギンタの言葉に、ライアンは頷く。ジョンも同様だ。 開かずの扉の件然り、ミチには静かな頼もしさがあった。 表情と同様にミチの言葉は、感情が読めない。どちらかと言えば冷たいとさえ感じる。だが彼の言葉は、馬鹿にするわけでもへりくだってもいない、不思議な説得力がある。 それにどこか頼もしさを感じてしまうのだった。 「「「無言実行」」」 声が重なり、三人で爆笑する。 無言実行。 そう、それがミチにはぴったりだ。 ライアンは客席に深く座り直して、微笑んだ。
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