隧道の果てには

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ギンタ達のそんな会話の一方、ミチは困惑していた。 「何とか言ったらどうだい?」 座ったままチェスターを見上げる。チェスターは蛇の様な切れ長の目を不機嫌そうに歪めている。考え事をしていて、彼の言葉を全く聞いてなかった。 ミチは今、控室にいる。ちなみに先程のテントでは無く、闘技場内にある控室だ。テントと比べると大分狭い。そこの椅子に座り戦略を練っている所、チェスターが話しかけてきたのだった。 「すまん、聞いていなかった」 素直に"仏頂面で"謝るミチに、それを挑発と受け取ったチェスターの額に青筋が浮かぶ。 「お前が勝てたら、次は僕が約束通り遊んでやるって言っているんだよ」 あぁそういうことか。とミチは頷く。 ちなみにチェスターの一回戦は終わっていない。負ける気など毛頭無いのだろう。 もしチェスターとミチが一回戦に勝ったら、二回戦にぶつかり合うのはその二人だった。 「わかったから、もう試合始まるぞ」 ミチが軽くあしらうと、チェスターは舌打ちをして背中を向ける。 「……覚えておけよ」 そう吐き捨てると、チェスターは控室を出ていった。
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