隧道の果てには

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魔導士同士の闘いは、短期決戦が多い。 戦士型なら武器の一撃が入れば相手に致命傷を与えられ、魔法型ならいかに攻撃性の高い魔法をぶつけるか。それが重要だ。 離れた所で歓声が聞こえる。 どうやら終わったらしい。ミチは静かに立ち上がった。 控室と戦いの舞台までの道は、隧道の様な廊下でつながれている。 その舞台までの隧道は暗く、出口は日の光で白く輝いている。 するとその"出口"から戻ってきたチェスターが肩をぶつけてくる。 完全に喧嘩を売られている。 どうやらチェスターは一回戦を突破したらしい。 「喧嘩は二回戦で」 ミチがそう言うと、一度チェスターは立ち止まり、不適に鼻で笑うと控室へと入って行った。 「……」 出口を見据え、ミチは歩く。その先はやはり見えないが、白く輝いていた。 静かに闘志を燃やすミチの後姿は、その光の中に消えた。
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