隧道の果てには

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隧道の先は、当たり前だが闘技場だった。 思わずミチは見上げてしまう。 春の日差しが、舞台に降り注ぎ眩しい。 自分を取り囲む様に聳え立つ客席から、声援が聞こえる。 前から、左右から、後ろから。 授業でこの光景は慣れていると思っていたが、今日はまた全然違った。 ここに立つ者は、皆舞台の主役となれる。 そして相対するのは相手役。 演目は、闘技。 左胸に手を当て召喚する魔導書ディアボロス。 これは台本だろうか。ふとそんな事を思って、対戦相手を見る。 隣のクラスの男子。名前は覚えていない。 肌が黒い、アースで言う黒人種だ。 同じ一年生とは思えない大きな体格で、使い魔はこれまた大きな斧。エマの掛けた刃引きの魔法で淡く光っている。 完全な戦士型だろう。 血走った瞳でミチを睨み、緊張と興奮で息を荒くしていた。 それを観察するミチの心は、さざ波の様に揺れその水面下では熱いマグマの様なものがくすぶっているのを感じた。 審判であるエマが腕を上げる。 その瞬間、ミチは集中する。一際大きなギンタの声援も消え、瞳には相手だけを映した。 「始めっ!」 エマが腕を振り下ろした。
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