ギルドキャンプの注連縄

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この森は未開の地ではない。その為、ある程度整地された道が続いている。 そこを、先頭にギンタとアンジュが並び、その後ろにミチとサエが歩いていく。 ギンタとアンジュを中心に会話が弾み、それをミチがサエに通訳する。 これが四人のバランスだった。 「あっこれはホワイトメルです。解毒の薬が調合出来るんですよ」 アンジュが指差すのは、白い小さな花。 思わずミチ達も足を止めて見る。 ここまでの道中で、アンジュはやはり博識だということがわかった。 道に咲く花や、草、木の実。その名前を始め、毒性の有無であるとかこれは食べられるとか、事細かに楽しそうに語る。 図鑑で見たそれを、自身の目で見ることが出来るのが嬉しくて仕方がないみたいだった。 ミチも興味心身で見渡しながら歩いていた。 「にしても、暑くなってきたなぁ」 ギンタが、手を団扇代わりに扇ぐ。 初夏の日差しは樹々で遮られているとはいえ、厚着のミチ達は汗をかいていた。 ナップサックの触れる背中が汗でくっつくのを感じる。 それは、ランドセルを背負った小学生の頃を思い出させた。 夏の陽射しを吸収した黒いランドセルは、熱塊の様に熱くなる。 よくそれをミチは触って遊んでいた。熱いと分かっているのに何故か触れて確かめたくなってしまう。 いざ触ってみたら、やっぱりランドセルは熱くて、思わず手を離してしまうのだ。それがミチは面白かった。 ふとそんなことを思い出して、ミチは微笑んだ。
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