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四人は焚き火を囲むように座っていた。
夕飯も食べ終わりアンジュが作ったハーブティーを飲んでいた。
そのハーブは道中に摘んだもの。
市販されているごく一般的な物だが、自分達で一から作ったそれはどこか新鮮な感じがした。
会話も落ち着き、四人は静かに火を見つめていた。
「こういうのって、なんかいいよな」
胡座をかいたギンタがコップを地に起き、ぽつりと話す。
"こういうの"というのは具体的な言葉では表せない。だけど、ミチには何となく分かった。
仲間と焚き火を囲んで、夕飯を共にし、美味しい紅茶をゆっくりと飲む。暖かい空間のことだ。
「はい。私も王都にいた時には考えられませんでした」
地面に上品に座るアンジュは、コップを両手で包む様に持ちながら微笑む。
それを見たギンタは嬉しそうにはにかむ。
"……意外と、良いね。こういうの"
サエが長い髪を耳にかけながら、俯く。顔が赤いのは、焚き火のせいだろうか。
3人の視線は自然とミチへと集まる。
「……ああ。俺もだ」そして軽く頷く。
「だぁ~っもうっ!こういう時くらい笑えよっ!」
ギンタは膝をパンパン叩きながら悶える。
「ふふっ。ミチさんらしいですけどね」
"同感"
訳が分からず眉間に皺を寄せるミチ。いつの間にか話題が自分の事になっている。
「なぁ。ミチはマナリアに来ただろ?アースの生活はもういいのか?」
ギンタが心配そうに尋ねる。
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