ギルドキャンプの注連縄

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今にも消えそうな焚き火を、座りながらミチは眺めていた。 涼しい風が炎を揺らし、舞い散る火の粉が地へと落ちる。 夜の森は、静かだった。 風に擦れる樹々の枝の音の中に、薪が爆ぜる音が混ざるだけ。 ミチの背にあるテントからも、物音はしない。 皆は寝たのだろうか。 ミチの座る開けた場所は、月明かりを遮る樹は少ない。 でも今は雲が月を隠し、灯りは焚き火の炎だけだ。 「逢いたい……か」 謝りたくても、死んだ母には逢えない。 この自責の念は、誰にも告白することは無い。そう思っていた。 口にするのを恐れていたのだ。 後悔がより強くなるから。 だけど今日、初めて言葉にした。 熱いと分かっていても触れてしまう様に、胸が痛むと分かってもそれを言葉にした。 理由は簡単だ。 サエも、ギンタもアンジュも初めて出来たかけがえのない友達だからだ。 彼らになら、この気持ちを言葉にしても良いんじゃないか。 そう思えたからだ。 母に謝りたい。やはり後悔は消えることはない。 でも、何故か胸のつかえが少し下りた。 ふと辺りが明るくなり、上を見上げる。 そこには風に流れた雲の隙間から三日月が覗いていた。 少し雲に覆われたその月は、まるでミチの心の中の様だった。 明日の天気はどっちだろうか。 しばらくミチは、空を見上げていた。
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