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翌朝、ミチ達は朝飯を食べながら今日の予定を確認していた。
「この山頂付近の小屋で今日は休めそうだな」
木の実のジャムをたっぷりとつけたパンを頬張りながらギンタが地図を指差す。
「ここなら、テントを張らずに寝泊まりできそうですね」
その地図を覗き込むアンジュ。近付くアンジュに咄嗟にギンタが背筋を伸ばす。アンジュは動きやすいように栗色の髪を後ろに束ねていた。
ミチとギンタは苦手なテント張りを免除されて、あからさまにほっと安心する。
"ミチとギンタはテント張るの得意だから、残念そう"
それを見たサエが意地悪に微笑んで茶化す。彼女は、長い髪を横にまとめツインテールにしていた。
「よし片付けて出発だ」
"話逸らした"そんなサエの言葉は無視して、テントを片付けた。
小屋は山頂付近にある。
そこを拠点とし、下山するギリギリまで薬草の採取と未開の地を見て回る算段を立てていた。
今から出発すれば、夕方には着けるだろう。
だがーー
「空……嫌な感じですね」
昨日の朝とは打って変わって、今日は鉛色の空。重く灰色の雲が山の方へとゆっくりと流れている。
気温も昨日より幾分か低い。山の方は更に寒いのだろうか。
もし雨が降ったら、予定より到着が遅くなるだろう。
「アンジュさん大丈夫だよ!星読みが今週は晴れだって言ってたし!」
明るく言うギンタの表情は苦い。眉間に皺を寄せ空を見上げている。
ここで止まっていても仕様がない。早く出発した方がいいだろう。
「さぁ片付けよう」
再度ミチは、言葉を発した。
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