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空は曇りでも、ミチ達の心は晴れやかだった。
なぜなら、
「……じゃ、くぐるぞ?」
口調は神妙そうでも、振り返るギンタの表情は興奮を隠しきれていない。
目の前には、注連縄。ピースライン。
ここが、国土と未開の地の境目。
「はいっ!」
アンジュが嬉しそうに、頷く。
そう。未開の地へと足を踏み出すのだ。
ミチを除く、マナリアで育ってきた三人にとって、未開の地とは寓話やお伽話の世界だった。そこに初めて足を踏み入れることが出来る。
ギンタ達は、嬉しそうに"囲い"の外へと出た。
途中ナップサックが注連縄に引っかかったギンタは、サエとアンジュに手伝ってもらっている。
かくいうミチも、昨日のアルマの言葉に、弾む気持ちがあった。
「まだ見ぬ浪漫か」
呟くと、ミチも後を追う様に注連縄をくぐった。
同じ様に、注連縄にナップサックが引っかかって、笑われながら三人に助けてもらった。
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