2人が本棚に入れています
本棚に追加
その男性は眉一つ動かさず、ただジッと引き籠もり少女を見据えていた。
まるで、見下すかのように。
(な……何か……、マズい事……言ったのかなぁ……?)
その冷たい目線に彼女は縮こまり、精神的不安に陥る。
この“もし”が当たっているのならば、後々の展開に恐怖を抱き、今既に考えただけで涙腺から粒が溢れんばかりに溜まってくる。
「…………」
そんな彼女を見下ろしながら、たった1人の従業員は無言のまま少女の前――カウンターキッチンを離れ、近くにある観葉植物らが並べられた棚のすぐ横の壁の1ヶ所を軽く押した。
すると、どうであろうか――ドアのようにその壁が開き、0~9の文字が振られたタッチパネルが中から姿を見せる。
彼は暗証番号を打ち込み、そして“Enter”キーの横にある指紋照合で認証。
ピピッ、と云った音が鳴ると彼の目の前の壁がスライド式に開かれた。
「!?」
彼女は驚いた事であろう。
(か、隠し扉らっ!?)
アニメや漫画などの空想世界でしかないと思っていた物の1つが現実にあるとは考えていなかったのである。
従って、舌が巻く程驚いた。
「それではお客様、どうぞコチラへ」
と、彼はそう言って隠し扉の奥へと消えた。
「え…?あ…、は、はい…」
唖然と驚きに、多少の戸惑いを感じていた少女であったが、彼の言葉通りに彼女もまた、隠し扉の奥へと入っていく。
最初のコメントを投稿しよう!