SNIPEⅡ~コードネーム・ネメシス~

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その男性は眉一つ動かさず、ただジッと引き籠もり少女を見据えていた。 まるで、見下すかのように。 (な……何か……、マズい事……言ったのかなぁ……?) その冷たい目線に彼女は縮こまり、精神的不安に陥る。 この“もし”が当たっているのならば、後々の展開に恐怖を抱き、今既に考えただけで涙腺から粒が溢れんばかりに溜まってくる。 「…………」 そんな彼女を見下ろしながら、たった1人の従業員は無言のまま少女の前――カウンターキッチンを離れ、近くにある観葉植物らが並べられた棚のすぐ横の壁の1ヶ所を軽く押した。 すると、どうであろうか――ドアのようにその壁が開き、0~9の文字が振られたタッチパネルが中から姿を見せる。 彼は暗証番号を打ち込み、そして“Enter”キーの横にある指紋照合で認証。 ピピッ、と云った音が鳴ると彼の目の前の壁がスライド式に開かれた。 「!?」 彼女は驚いた事であろう。 (か、隠し扉らっ!?) アニメや漫画などの空想世界でしかないと思っていた物の1つが現実にあるとは考えていなかったのである。 従って、舌が巻く程驚いた。 「それではお客様、どうぞコチラへ」 と、彼はそう言って隠し扉の奥へと消えた。 「え…?あ…、は、はい…」 唖然と驚きに、多少の戸惑いを感じていた少女であったが、彼の言葉通りに彼女もまた、隠し扉の奥へと入っていく。
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