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AM.8:33――
薄汚いこの通りを、何か探し求める1人の男性――いや、一瞬容姿で見間違うかも知れないが、性別は紛れもなく女。
容姿で見間違う理由としては、ボサボサに掻き乱れたボブヘアーで前髪は眼まで覆い被さるまで伸び、服装は地味なジャージ。
そして、視力を補う為の眼鏡を掛けている。
――これらが彼女を一見男性と見間違う理由。
極め付きは、彼女は引き籠もり―Not in Employment, Education or Training―NEETである。
この日は滅多に無い――珍しい外出。
これにも理由があり、何かを探し求める理由もそこにあった。
「えっと……あ、ココだ」
辿り着いた場所、其処はネット上で噂となっている喫茶店。
何でもこの喫茶店、とあるメニューを注文すると不思議なサービスを受けれると言う、信憑性が薄い噂が流れてた。
しかし、そういう系統に流される体質の彼女はこの目この肌、この身体で感じてみたかった。
――だが、目的はそれだけではなかった。
それはネット上で流れてた、“もう一つの噂”。
これも信憑性は薄い――どころより“無い”に等しい。
「…………よしッ」
喫茶店のドアを開けるのに一時躊躇いを感じたが、意を決してドアを開ける。
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