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(落ち着け、落ち着くんだ私…!)
「スハースハー…!!」
(よ、よし!落ち着いてきた!頑張れ、頑張るんだ私っ!何の為に外に出たのよっ…!)
正確な呼吸を取り戻しつつ、彼女は自分に言い聞かせた。
「お客様、どうかなされましたか?」
「ふぁいっ?!ひ、ひえ!!」
再び、前に立ったこの男性(イケメン)の爽やかな笑顔で問い掛けた御陰で、彼女は裏声を使った変な返答をしてしまう。
流石に、これに関しては彼が微かに苦笑いを浮かべていたのが分かった。
「い、いえ…、どうにもされてないです……」
恥ずかしさで顔が真っ赤に染まる。
『変な人だなぁ』とか思われてるんだろう、と彼女は思った。
(いや、ってか引き籠もりの時点で変な人だよ…!)
しかし、実際には彼はそう思っておらず――
「そうですか。なら、改めて席へご案内致しますので――」
――通常通りの接客を行い、そして唐突に引き籠もり少女の手を握る。
「ッ……!??!」
心臓が口から飛び出してきそうな程の衝撃が走り、男性の手の感触がコレを更に駆り立てる。
「――宜しかったら、私の手でご案内致しますよ?」
「ふぁっ…ふぁ…ふぁい、お、おお願いしましゅ……」
とびきりのスマイルと最高のお持て成しに、彼女の脳は限界を突破。
頭が真っ白になり、幾つか言葉を噛みつつ受け答えし――後は、されるがまま。
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