入らない天才

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「あれは…伸哉か?」 明林高校の二年生にして主将を任された、キャッチャーの堂城 彰久(どうじょうあきひさ)は、伸哉がグラウンドから去っていくのをぼんやりとだが見ていた。 彰久は伸哉の小学生時代の友人であり、同じリトルのチームメイトであった。 今でこそ彰久はキャッチャーに専念しているが、その当時は伸哉と一試合交代でピッチャーをして、最後の大会で、県のベスト四まで進んだときの事は、今でも一日前の事のように、はっきりと覚えていた。 中学生になってからは、親の都合で彰久が長野の方へ引っ越して以来、一度もあってはいないが、伸哉の事はずっと覚えていた。 「いや…そんな筈はないか」 彰久は、伸哉がここに来ていたという可能性を捨てた。
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