一章-出会い-

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二人は古そうな家の前に着いた 「どうせ貴方は住む場所もないんでしょ??」 「まぁそうだが、私はまだこの街に住むと決めたわけでは…」 フェルミは少し困ったような顔をしたが、 聞く様子もなく笑顔でマリアは話を続ける。 「いいのよ!!私の母が住んでた家だけど、空いてるから好きなだけ住んでいいわ。」 「だが…いきなりそんな……」 「いいから、いいから」 と、言うような話を3回は行った。 折れたのは、当然、フェルミの方である。 「…なら、これからどうするか決まるまで、その言葉に甘えるにしよう」 泊まる場所が無いのは事実であるし、笑顔に負けて渋々了承する。 「あ、家賃は安くしとくし、仕事見つけるまでは、後で払ってくれていいわよ」 「って、金取るのかい!!!!」 フェルミの最大限の突っ込みが飛び出した。 ――――――――― 「マグナさん!!お疲れ様です!!」 笑顔で少年が走りよってくる。 この少年ノブはいつも一番目を輝かせている。 「はは!!ノブ!!久しぶりだな。今日も面白い物を持ってきてやったぞ!!」 大柄の体に、銃や手持ち武器で武装したキャラバンのリーダーのマグナは馬から降りながら手を振った。 既に、街の住民がキャラバンを歓迎して集まっていた。 「本当に!!やった……何これ??」 ノブの掌に小さなチップが渡された。 「知らんが、西の遺跡で見つけたものだ。上手く使えれば凄い物かもしれんぞ!!」 「やっぱり昔の考えは分かんね……でも、いつか使えるように頑張ってみるよ」 そうしているうちに、街の住民はキャラバンが持ってきた、 遺跡の物品と他の人の住んでいる街の貿易品を入れた馬車の品物に移動していた。 「ったく、街の奴らも俺らが命懸けで旅したのに、すぐに物に流れるとは現金な奴らだな……まぁ仕方ないか… それにしてもいつも一番に来るのに、今日は来るのが遅かったなノブ」 「何か流浪者が来てさ。」 「ほぉ、今どき流浪者……か」
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